5.何を考えて..


一体全体ジュエリーデザイナーは何を考えて(※考えながら)デザインしているのでしょうか?実はコレに関しては大勢のデザイナーにアンケート取った訳で無いので、ごく少数の僕の出会ったデザイナー達からの情報となりますが「基本的に何も考えていない」との結論が出ております。

ではちょっと上の画像(※乱筆ですみません!)について説明しますと、ある日クライアントから「バレンタインデーのお返しなのよ!イニシャルを入れてプラチナで携帯ストラップをお願い!」との連絡が有り、とりあえずラフ(※ラフスケッチ=手書きでイメージを確認する為のモノ)をファックスしようと、ちゃちゃっと書いて送ったモノです。

で、これ見て「ふふ〜ん!こんなの誰でも出来るんじゃ?」なんて思うでしょ(笑)しかし、実用性を兼ねていて、予算の範囲内であまり世間で見かけない携帯ストラップで、なおかつ上がりもそこそこ綺麗と成ると素から考えるのはケッコーしんどい作業だと思われますが、僕がクライアントから話を聞いて、このラフを描き上げるまでにかかった時間は20分程度です(本当)。

つまりデザイン性とか実際の作りとか予算とか材料なんてモノをいちいち計算したり考えたりしながらデザインなんて出来ない時間で一つの仕事を終了している訳で、その後オッケーを貰って製作して無事納品出来ました(※お客さんにも概ね好評だったみたいですが、ホワイトデーのアレにしては高価な気も…)。

でもって、それ以外のもっと高額商品(※宝石)を使用したデザインにしても企画モノでもデザインの善し悪しは別として全て30分以内でデザインしちゃいます。もちろん短時間でデザインしたからと言って、それが良い事だとは思いませんが、デザインする時に何も考えていない証明に成るのでは?と思います(※デザイン画に落とす作業にはもっと時間がかかりますが…)。

また僕の知り合いの女性デザイナーだと「アトリエの天窓から入り込む月の灯りを浴びながらデザインするのよ(※オオカミ男かよ…)」なんて仰る方も居ましたし、おもむろにジュエリー関係の雑誌を開いて(※本人曰くコピーをする訳では無いとの事)しゃかしゃかしゃかとデザインしちゃう人も知ってますし、僕の場合は「i-tune」でアメリカの80年代のMTV系ミュージック(※club977)を聞きながらデザインするのが最近のお気に入りだったり...

そして詰まる所、元に成るアイディアを考えるのでは無く、頭に浮かんで来たアイディアをキャッチする媒体に月の灯りとかジュエリー雑誌とか音楽を利用しているとの意見の様で、恐らく他のデザイナーに聞いても同じ様な答えが返ってくるモノだと思います。



ではどうやったら「頭にデザインが浮かんで来る」様に成るのでしょうか?コレに関しては長い話に成りそうな気もしますが、とりあえず現存するジュエリーデザイナーの生い立ち(※キャリア)などを考慮に入れながら考察して行きましょう!

まず僕の話だと基本的に誰かへのプレゼントにジュエリーやアクセサリーを購入する以外に宝石や貴金属とは無縁な人間で、宝石やジュエリーと出会ったのはアメリカに留学した後と成ります。で、最初に出会ったのが「宝石」でして、何故なら宝石鑑定師の資格を取った為で、試験に合格する為に数百個の宝石を顕微鏡で覗き鑑定や鑑別させられたのがそれです。

で、その時に「顕微鏡で見る宝石の美しさ」に感動したりもしましたが、試験勉強(※当然全部英語だし…)が僕に取っては恐ろしく大変だったので「宝石に嵌る」などと言う事も無く資格を取った後は僕の意識はジュエリーを製作する方向に向かい、それはそれで大変に面白かったのです。そして当然その辺りから「多少のデザイン」を学校の課題で求められたりしましたが「パックマン(※TVゲームキャラ)のチャーム」とかを作って喜んでいた程度でした(あはは。

そしてテキサスの学校に在学中に日本の食料品を扱う雑貨屋さんのオーナー夫妻に「娘にゴールドのリングを作ってください」と言われて作ったモノが、僕は生まれて初めてデザインして製作石留めをし、お金(当時のレートで3万7千円位)を貰った最初の仕事と成りました(※記録は残っていませんが、コレに関しては今でも鮮明に記憶に有ります)。

でもってテキサスの学校を経由してカリフォルニアのGIAに移動して最初に取ったコースが「ジュエリーデザイン」でした。当然このとき初めて本格的なデザイン画と遭遇した訳ですが、これまた課題の多いコースで学校の課題をこなすのが精一杯でデザインを考えるなんて時間は少なかったです(※当然課題にデザインも含まれるが…)。そしてどうやら僕が素早くデザインを出来る様に成った下地はこの時に出来上がったみたいです。

つまりデザイン画の製図とレンダリング(※光源の方向を一定に設定(※左斜め上から)して陰影を付け彩色する事)に大変時間がかかったので、アイディアを練る時間的余裕が無くて、必然的に素早くアイディアを閃かせる必要に迫られた結果だと思います。そしてその後に複数のコースを取りコースの半ばにしてデザインする能力も磨かれて行ったと思えるのですが、日本に帰国して新人として働き出した頃には自然とデザイン出来る状態に成ってました(※当初はデザインするのが、とっても嫌だったのですが…)。

同じ事を↑でも語ってますが、材料やコスト、お客様の情報を頭にインプットすると自然とデザインが頭に浮かんで来る訳で、僕の場合は作りもしますから、当然浮かんで来たアイディアは常に制作可能なモノで有るので、有る意味助かりますが、作りの能力が低いとデザイン出来るモノのレベルも上がらないと言う両刃の剣でも有りますよね。


0.デザイン の 1.プロローグ 2.貴金属+宝石=? 3.に成る前に..
4.に必要な資質.. 5.何を考えて.. 6.の道のり.. 7.との出会い..
8.販売の魔力 9.環境の変化 10.状況に応じて 11.似合う臨界..
12.誰が為に.. 13.考える時.. 14.の引き出し.. 15.エピローグ

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