15.エピローグ


自分自身に「僕はジュエリーデザイナーか?」と自問すると、実はあまりそう言った意識は持っていないです(本当)。確かに今までに経験した多数の仕事でデザインをする事によって収入を得た事も有りますし、今でも日常的に「なんらかのデザイン(※ウエブ、グラフィック、ジュエリー、アクセ)」を日々行っております。

しかしだからと言って「自分がデザイナーで有る」と言う自覚には繋がらなくて、僕にとってのデザインとは前にも書きましたが「仕事を円滑に進める為のツール」です。そして自分自身の立ち位置として、日本で言う所の職人さんとも違いまして、職人と言う言葉を英訳すると「 a workman; a craftsman; an artisan.」と成りますがアメリカでは加工机に座って制作等の仕事をする人の事を「a bench jeweler.(※ベンチジュエラー:ベンチとは加工机)」と呼びますので僕自身は自分の事をそう思ってます。

そしてアメリカのジュエリー関係の学校では「ベンチジュエラーが勤まれば、それ以外の他のジュエリー関係の仕事は全部勤まる」との教育をしておりまして、僕は根が素直な人間みたいで(笑)教わったその通りの事を今まで実践して来たと言う訳です。(^^ゞ

もちろん制作とデザインは似て異なる仕事ですが、制作の多くのテクニックは頭で覚えるのでは無く、手(※正確には手の筋肉が記憶する。もしくは手の筋肉を操る神経が…)で覚える事でして「手に職を持つ」とは言い得て妙な表現ですが、その通りだと思います。そしてデザイン作業の多くは実際のオペレートには手やマウスを使う訳ですが、作業の多くは頭(※頭脳)の中で行うのです。

そして手と頭脳は密接に繋がっており、高性能なコンピューターでも処理しきれないほどの情報を瞬時に解析してシュミレート出来る様に成っており、多少の能力差は有りますが、人間なら誰でもモノを作ったりデザインしたり出来ると言う訳です。もちろん正確かつ迅速にモノを作ったりデザインするには毎日の様に訓練して何年間もの経験が必要と成りますが、手先を使う事により脳を刺激するとの科学的な根拠も有る様ですし、僕の場合などは特に日常的に手と指先を使う事によって頭もトレーニングされたのだと思います。



また人類と装身具の歴史は古くエジプト時代以前の遺跡からも様々なジュエリーが出土しております。そしてジュエリー(※使用目的等は現代とは違うかもしれませんが…)が、その時代に存在したと言う事は、そのジュエリーをデザインしたジュエリーデザイナーも同時に存在した事の証だと僕は思いますし、必要に迫られて作ったかもしれない道具なども誰かがデザインしたモノのだと思えませんか?

もちろん産業の世界においては設計とデザインだと少し意味合いが違って来るとは思いますが、ジュエリーの場合は設計図=デザイン画で有り、多少なりとも人間にとってデザインとは過去と現在を繋ぐ線で有り、現在と未来をも繋げる事が出来るなんて想像すると僕的には楽しく成って来ますし、多少のロマンを感じずにいられません。

そしてジュエリーデザインに取り組む方法にルールは無いとも言え、僕の様に各種の製作技術や宝石の知識から入っても良いと思いますし、もちろん絵画や彫刻の世界からこっちの世界に入って来る人も多くいますし、服飾や美容からの参加も、もちろんアリだと思えます。またスポーツの世界や芸能音楽や昨今流行のIT関連なんてのも関係無さそうで、意外とジュエリーマインドの持ち主が多いと思えるのです。。。

で、そんな風に考えていると「やたらと間口が広い仕事だな?」なんて思える訳で、それ故に「モノにしたり収入(※職業)にするには難しい」とも言えますが、ジュエリーが金属や宝石を使用する限り技術的な事はすでに頭打ちで、便利な機器が登場したとしても技術の伝達も限界に来ていると思えますし、生産地のシフトなども考慮に入れると最終的に押さえるべきパートは「デザイン」だと言いつつ何年後かに「すみません!間違ってましたーぁ!!(滝汗)」などと言っているかもしれません!?

by Makoto K Ogura.


0.デザイン の 1.プロローグ 2.貴金属+宝石=? 3.に成る前に..
4.に必要な資質.. 5.何を考えて.. 6.の道のり.. 7.との出会い..
8.販売の魔力 9.環境の変化 10.状況に応じて 11.似合う臨界..
12.誰が為に.. 13.考える時.. 14.の引き出し.. 15.エピローグ

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